「歩きながら考える」step9 [本・雑誌あれこれ]
記事中の表現を借りれば、「道中」のことを考えるリトルプレスの最新号が届いた。今号も読みごたえのある内容である。中から三編紹介したい。
「歩くこと、書くこと、思い出すこと(滝口悠生)」
芥川賞作家による、散歩の記録を書くワークショップの話である。
話は日記から始まる。日記は、その日に起きなかったことは書きにくい。事実の報告・記録を要求される。だが、「ひとの一日のほとんどは、その日起こらなかったことや、目の前にいない人のことを考えたり思い出している時間」というのは盲点だった。
そして、ワークショップで書かれたものを読んでいると、「小説には決まった形や書き方などないはずなのに、これは小説には書けない、という部分がたくさんある」という。
私個人は賞を追いかけないタイプだが、この作家に興味が出てきた。