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シュークリーム [本・雑誌あれこれ]

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(内田百閒、山本善行 撰/灯光舎)

 人が亡くなる話が続いてちょっとひるむんだが、そんな中にも内田百閒特有の可笑しみがあって、雰囲気は柔らかい。
「漱石先生臨終記」には、中学生の百聞が、憧れの漱石が乗った急行列車が停まる、と聞いて岡山驛に見に行くエピソードがあるのだが、鉄道に関する描写がまた細かくて、「阿房列車」を連想させ、くすっとさせる。

 一応、解説しておくと、内田百閒は戦前から戦後にかけて活躍した作家で、夏目漱石の弟子である。
 可愛がっていた野良猫がいなくなって泣き暮らし新聞広告で探したりという様を描いた「ノラや」、「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」で始まる、汽車に乗ることを目的とした紀行文「阿房列車」が有名。

「乱れ輪舌 FOT」というタイトルはすごいと思った。おちゃらけてるという印象を持たれかねない感じだが、そもそも「乱れ輪舌」という単語は俺の中にない(調べた)。それと“FOT”というアルファベット(これは登場する人物のイニシャルである)の組み合わせ。

『まあだだよ』を見たくなった。DVDが出てるようだし探してみるか。
 一條裕子の『阿房列車』も読み返したい。

 灯光舎の「本のともしび」シリーズは、どれも「いいものを読んだ」と思わせてくれる。

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