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日記 [雑感]

 昨日の話の続き。本からは離れる。

 音声や動画の記録メディアがテープからディスクに変わったことで不便になったことの一つに、再生を途中でやめた時、どこまで再生していたかを人間が覚えてなければならない、ということがある。
 入れっぱなしなら覚えててくれる再生機器もあるが、別のディスクを入れてしまった場合は、前の再生終了ポイントまで人間が進めなければならない。テープならパッケージが位置情報を記憶しているので、パッケージがいくつあろうと、そのまま再生すればよい。
 もちろん、そういう風になるように設計したわけではないだろうが、これはテープ メディアのアドバンテージである。というか、そういう機能がないメディアに入れ替わったことで、それがアドバンテージであったことに気づく、という感じか。(*1)
 別の言い方をすれば、テープ メディアからディスク メディアになった時に、「前はできていたことができなくなった」わけである。新技術がカバーする範囲が、旧技術がカバーしていた範囲を包含していなくて、ずれただけなのだ(カバー面積は変わってるかもしれないが)。「しょうがないじゃん」って人は多いのだろうけど、俺は「それを『進歩』と呼んで肯定してしまっていいのか」と思う。

 電池式で過熱防止や立ち消え安全装置がついたガスレンジがあるが、電池がくたびれたらどうなるかと言うと、過熱防止が機能しなくなるだけでなく、点火しなくなる。全く使えないのだが、これって「進歩」だろうか。
 黒電話は停電になっても通話できたが、留守電に FAX に内線電話にと盛りだくさんになった結果、外部電源が必要になった電話機は、停電になると通話できないものになってしまった。光回線も IP 電話も同様。これは「進歩」だろうか。
 電話については、総務省のホームページに「予備電源を準備しましよう」と書いてある(*2)。ガスレンジも、予備の電池を用意しとけ、という声があるだろうが、カバー範囲がずれたおかげで、前は製品やサービスが負っていた責務をユーザーが負うことになってしまっている。それって「便利になった」と言えるのだろうか。


*1
 その裏返しとして、テープ メディアに追記するには、追記する場所をあらかじめ「頭出し」しておく必要がある。カセットテープで、お気に入りの曲を別の曲で上書きしてしまった、という泣くに泣けない事故は多かった。(デジタルの)ディスクの場合は、空いている領域をアプリケーションが探してくれる。人間は「記録しろ」とボタンを押すだけでよい。

*2
停電時の固定電話・IP電話の利用について

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