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日記 [雑感]

「それでも歩は寄せてくる」を見ている。
 第一話で将棋の「無敵囲い (*1)」が出てきた。王将の周囲を金銀と飛車、歩で固めた陣形で、「せっかくの大駒が動けねぇじゃん」というのは素人でもわかるが、「横からの攻めに弱い」というのも言われて納得、である。

 こないだ、現実の大会で行われた「入玉宣言法」が話題になった。
 順を追って説明すると、「入玉(または入王)」というのは王将が敵の陣地に入ることである。素人は「大将が最前線に出て大丈夫か」と思うのだが、王将は一マスだけとは言え八方に動けるのに対し、横や後方に動けない駒は多いので意外に強いのだそうである。(*2)
 そのため、先手・後手とも入玉した場合、膠着状態になることが多い。そうなったら、双方合意の上で残っている駒のランクと数による点数計算で決着をつけることがある。
 が、一定の手数内でそうなってしまい、かつ、点数で決着しようという合意が得られなかったときに、「宣言」をして勝負を決めるのが「入玉宣言法」。
 もちろん、成立するには一定の条件があって(*3)言ったもん勝ちってものではなく、宣言したあとで条件を満たしていないことが分かれば逆に負けとされてしまう、という結構、恐い決着である。

 俺が IT 業界に入ったころは、チェスに比べてコンピュータ将棋はまだまだお粗末、と言われていた。理由は、盤面は広いし、駒は多いし、その上:
・敵陣に入ると「成る」ことができるが、必ず「成らなければならない」わけではなく、差し手が決める。
・取った駒を自分のものとして使えるが、これも「使わなければならない」わけではなく、差し手が決める。
 と自由度が高く考慮するべきことが多すぎて、当時のコンピュータには荷が重すぎたのだった。(*4)
 コンピュータ将棋は実際の対局データを教師として学習していくが、入玉は頻繁にあることではないのでデータが少なく、そうなったらとたんに弱くなる、ということがあったらしい。まして点数計算での決着なんて、という感じだったそうだが、今では改善されているんだとか。

 知らないことって多いねぇ、と嘆息しつつ、だからって「将棋やってみようかな」と思う訳でもなく、「からかい上手の高木さん」同様、若者たちの不器用さ加減をにやにやしながら楽しんでいる。



*1
 こういう陣形のこと。
歩歩歩
銀飛銀
金王金
 飛車を王の前に、銀をその両隣に、と開始後三手で成立する。後述の通り、横に動ける(攻撃できる)のは金だけである。
*2
「成って」いない場合、後方に動けるのは王将・金将・銀将・飛車・角行だけ、横に動けるのは王将・金将・飛車だけ。歩兵・桂馬・香車は前方のみで、横にも後方にも動けない。
*3
 敵陣に十枚以上入っている(これもすごい話だが)、王手をかけられていない、など。
*4
 ほかのゲームと比べると、オセロは相手の駒をひっくり返せる場所にしか置けない(飛び地みたいな置き方はできない)が、将棋は(二歩みたいなル一ルはあるが)空いているマスならどこにでも置ける。


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