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チョコレート・アンダーグラウンド [棚紹介]

 4/20 の秋田魁新報で、春の読書キャンペーンに向けた選書をさせていただきました。その第二弾で、『チョコレート・アンダーグラウンド(原題:Bootleg)(アレックス・シアラー、金原 瑞人/求竜堂)』を紹介します。
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 ある国で、チョコレート禁止令が発せられます。
 現在の与党は「健全健康党」。
 チョコレートだけでなく、砂糖も塩も禁止。代わりに、フルーツが推奨されています。挨拶の言葉も「リンゴさくさく気分を」「ジューシーオレンジ気分を」。
 健全健康党はチョコレート探知装置を開発、違反者を見つけ出しては矯正施設に送り込んでいます。その支配に怯える人たちは、自分を守るために怪しいを人を見つけると密告もしています。
 ある日、ハントリーとスマッジャーは、バビおばさんのお店にカカオと砂糖があることを思い出しました。チョコレートが作れる!  お店の地下でチョコレート・パーティだ!

 一見、大人の強制に抵抗する子どもたちのお話ですが、それでは終わりません。
 極端な主張を持った健全健康党が権力を握ることができたのは、大人たちが選挙に行かなかったからです。
 そして、命令に従わないものの矯正、相互監視社会、密告の横行、子どもたちによる予備軍の構成、ネットの遮断、漫画の禁止などの統制は立派なディストピアです。子供向けの『1984年(ジョージ・オーウェル)』だと言ってもいいかもしれません。
 基本的には子供向けの本ですが、大人たちの一言で読み方に深みが加わるお話です。選挙権を持っている高校生にも勧めたい本です。

 山川あいじ によるコミカライズがあります(マーガレット・コミックス)。
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 これは、小説の、ではなく、アニメ作品のコミカライズで、アニメのオリジナルキャラクターも登場します。アニメは、山川あいじ がキャラクターデザインを担当しています。
 現在、DVD を探しているところです。

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はしれディーゼルきかんしゃデーデ [棚紹介]

 4/20 の秋田魁新報で、春の読書キャンペーン(4/23 が、子ども読書の日、世界図書・著作権デー、サンジョルディの日)に向けた選書をさせていただきました。
 そのうちの一冊『はしれディーゼルきかんしゃデーデ』を紹介します。
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 東日本大震災。
 復興には燃料が必要ですが、太平洋側の線路も道路も大打撃を受け、輸送が思うに任せません。
 そこで JR 貨物は磐越西線を使って日本海側から郡山まで燃料を輸送することを考えました。そのお話です。

 主人公は、ディーゼル機関車 DD51-852、愛称は「デーデ」。
 デーデはもともと磐越西線を走っていたのですが、震災当時は山口の門司でセメントを運んでいました。新潟に向かう間、東からの風が「うみがたちあがった!」というような悲鳴を運んできます。デーデは胸騒ぎを感じました――

 すとうあさえ氏のお話は、あくまでデーデと仲間のゴク(DD51 759)やイト(DE10)ベースで進みます。実際には、難しい問題(例えば、磐越西線の線路は JR 東日本が所有しており、その上を JR 貨物の列車が走る形になっているので、臨時ダイヤを走らせるのはそう簡単なことではない)があったはずですが、そういう要素は排されています。
 絵は鈴木まもる氏ですが、きれいでありリアルです。デーデに目や口があったりはしないので、大人でも抵抗なく読み進めることができます。
 絶妙なバランスで、子どもも大人も楽しめる絵本になっています。
 大人の方が子どもに読んであげる時には、前述の難しい問題をかすかにまぶしたり、デーデの装備に関するディテール(新潟にいたころはあった寒冷地装備は門司では外していたが、このミッションでは新たに搭載しなおした、など)を足してあげると喜ばれるかもしれません。
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参考:
「DT200Aの庫」の「災害復興の大役を負ったDD51のドキュメント」
「しぇるぱ63のブログ」の震災
「NHK 東日本大震災プロジェクト」の明日へつなげよう
togetter の被災地に燃料を届けた緊急燃料輸送列車の絵本がグッとくると話題に「鳥肌立つレベル」「DD51が主役のお話」


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岩波版ほるぷ図書館文庫 [棚紹介]

 これは、岩波書店が、児童書を得意としていた ほるぷと提携して、岩波文庫を ほるぷ直販でセット販売したものです()。1975 年のことです。中身は岩波文庫ですがハードカバーになっています。
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 これが大量に入りました。相応の痛みはありますが、出てから 40 年以上たっているとは思えない状態です。こちらに一覧を挙げます。
 通販も承りますので、ご希望の方はお知らせください。
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春は【シゴト】 [棚紹介]

 2018/4 の特集は【シゴト】です。

 スタートの季節にぴったりな、「働く」「稼ぐ」という意味の「仕事」なのですが、特集内容をうまく表現する単語がありません。
「仕事」はなんだか義務的な感じがする。
「職業」はちょっと分類用の言葉の感じがする。
「作業」は細かすぎる。
「家業」は当てはまらないケースも多いし、「稼業」だと「稼」の字のおかげでお金が濃く絡んできそう。「生業」も同じ。

 英語だとどうだろうか。
“occupation”は確かに職業なんだけれども「気晴らし」という意味もあって、ちょっとずれる。
”profession”は「専門的な知識を要する職業」で範囲が狭すぎる。

 考えあぐねてカタカナの「シゴト」にしました。

 カタイのヤワラカイの取り揃えました。ぜひ、店頭でご覧ください。

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